
糖質制限にまつわる話で『糖質制限を続けると脂肪肝になる』というものがあります。もし本当なら糖質制限はやるべきではない!?
ということで、今回は本当に脂肪肝になるのか?なるなら原因は何か?調べてみました。
糖質制限は脂肪肝を改善する
まず大前提として。基本的には糖質制限で脂肪肝は改善する、という情報が多数出てきます。
『カロリー制限食と同等に』非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の改善効果がある、というのがこの論文の結論です。
脂肪肝については江部先生も取り上げています。
江部先生自身も糖質制限食スタート前は脂肪肝だったのが数値が改善しています。
簡単に書くなら『インスリン分泌量が減ることで脂肪の合成が減り、また脂肪をエネルギーとすることで脂肪肝が改善する』という流れ。(かなり端折ってますが)
水野先生の記事が分かりやすいのでこちらも参考に。(水野先生も脂肪肝が改善されていますね)
しかし一方で、糖質制限で脂肪肝になったという情報も出てきます…。
糖質制限で脂肪肝になるという情報
糖質制限を続けると脂肪肝になる人がいる、ってのは周知されていないのかな?
— 堀江 俊之|Toshiyuki Horie (@ToshiyukiHorie) September 28, 2020
糖質制限で非アルコール性脂肪肝というのは結構ありますよね。特にアスリート。線維化も結構あるようです。 https://t.co/AimCWXflYT
— 堀江 俊之|Toshiyuki Horie (@ToshiyukiHorie) September 28, 2020
糖質制限も糖代謝能力喪失も組織に糖質が届かないという意味では同じ状態で、失調が激しければ脂肪肝になります。#基本プロトコル からじっくり取り組んで下さい。 https://t.co/iKqThWcEpe
— 堀江 俊之|Toshiyuki Horie (@ToshiyukiHorie) September 27, 2020
堀江さんキッカケで見つけた情報なので、ツイートを3つピックアップ。
返信や引用ツイートを見ると、糖質制限をやった結果『脂肪肝になってしまった』『肝臓の数値が悪くなった』という方は割と見受けられます。
ツイートでは『耐糖能が悪化した結果、内因性の糖質が余りそれが脂肪肝になる』という流れとされていたんですが、本当にそうなんでしょうか?そうだとしたら、糖質制限を続ければ遅かれ早かれ脂肪肝になる、という話になりますが…。
糖質制限で脂肪肝になる仕組み
上で挙げた『耐糖能が悪化した結果、内因性の糖質が余り脂肪肝になる』という理論はさておき、もうひとつ脂肪肝になってしまう仕組みがあります。
それが『低栄養性脂肪肝』と呼ばれるもの。
総エネルギーが低すぎる場合は脂肪肝になります。飢餓状態かそれに近い時です。時々なってる方を見かけます。
— 水野 雅登 (@masa_doc) November 5, 2018
水野先生がすでに記事にしています。
全てが解明されているわけではないとしているものの、
- 少量の糖質を摂っている
- 栄養不足で脂質をエネルギー化できない
- たんぱく不足で脂質を輸送できない
場合、肝臓で脂肪をエネルギー化できずに蓄積し、低栄養性脂肪肝になるようです。
脂肪肝になった人がどういう食事をしていたのか、運動習慣や体型がどうか詳しくは分からないものの、ツイッターで見る限り、ビルダーで激しい減量をしていたパターンやかなり長期で厳しく糖質制限していた方がなっている印象です。
糖質制限をするとどうしても食事内容は偏りやすいです。その結果、ビタミンやミネラルが不足して低栄養性脂肪肝になってしまう…というのはありそうですね。
低栄養性脂肪肝を避けるには
まずはちゃんとエネルギーを確保すること。
この例のように、割とエネルギー不足になってる方は多いんじゃないですかね。痩せる、体重を落とすところから糖質制限に入る人が多いと思うんで、食べる量を増やすのに抵抗があったり。
ここからは個人的な予想ですが、脂肪をエネルギー化という点ではビタミンB群やビタミンCの不足は影響していそうです。特にCはカルニチンの合成にも関わってる上、糖質制限で野菜や果物の摂取量が減ると不足しやすくなります。
『耐糖能が悪化した結果、内因性の糖質が余りそれが脂肪肝になる』
この耐糖能の悪化についても、マグネシウム不足が関係しているのでは、という話もあります。
マグネシウムが豊富な食材:
そば、バナナ、のり、ひじき、豆、五穀、豆腐、抹茶、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけ、いちじく、昆布、牡蠣、芋、納豆、とうもろこし、くるみ
これを見ると、糖質制限した結果、摂取量が減るものが多い気がします。その上で肉の割合が高くなるとカルシウムの摂取量が増え、相対的にマグネシウム不足になっていて耐糖能が戻らない…という説。
他に亜鉛がインスリン分泌に関わるので、このあたりが慢性不足で耐糖能が戻ってこない可能性も。(マグネシウム、亜鉛で耐糖能が戻りやすくなるかも?という話)
まとめ
ということで糖質制限食は基本的に脂肪肝を改善するが、一部『低栄養性脂肪肝』を起こしている例もある、というのが事実のようです。
『内因性の糖質が余り~』というのは、耐糖能が相当落ちているであろう江部先生が脂肪肝になっていないところを見る限り、耐糖能の問題はあっても、それ以外の影響が大きいのではないか?というのが今の所の僕の考えです。
ということで、緩くやってる人やメガビタやってる人だとほぼ関係ないと思われます。そうではなく、厳しい糖質制限でかなり食生活が偏っていたり、長期で厳しくやってる人は気をつけた方が良さそうですね。
後は耐糖能が落ちるほど糖質制限した後に糖質を摂る生活に戻した結果、脂肪肝になるケースや、そもそも糖質制限風なだけで油も糖も割と摂ってしまってるパターンで脂肪肝というケースはあるかもしれません。
定期的に検査して、食事内容を見直すキッカケにするのが良さそうです。