糖質制限その他

【糖質制限の危険性】糖質制限で甲状腺機能が低下する…という話

今回は糖質制限をすると甲状腺機能が低下する!という話について。そもそも甲状腺機能って何?低下するとどうなるの?って部分を含めて解説しようと思います。

甲状腺機能とは

甲状腺とは首、喉仏の下あたりに位置し、甲状腺ホルモンを作る臓器。

甲状腺ホルモンとは:

代謝に関わるホルモンT3(トリヨードサイロニン)T4(チロキシン)がある。T4は体内では多いものの活性が低く、T4⇒T3に変換されることで甲状腺ホルモンとしての働きを発揮。

脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調整される。

検査だとFT3、FT4、TSHという値で判断されます。甲状腺機能が低下したと言われるのは、FT3やFT4の値が低いということだと思われます。(思われるというのは実際に数値に関して話しているのは見たことがないため)

重要になるのは、甲状腺機能が低下するとどうなるのか?ですが、体温の低下、それによる代謝の低下、疲労感、寒気(冷え)、倦怠感、食欲の低下などの症状が出ます。

甲状腺疾患としてバセドウ病や橋本病などあるので、甲状腺についてもっと詳しく知りたい場合は以下の記事など。

要するに簡単にまとめると、糖質制限したら『疲れやすくなった』『寒気がする、冷えを感じる』といった症状を訴える人がいるということですね。検査した結果について議論しているのは見たことがないので、症状で判断しているのだと思われます。(もし数値の話をしている人がいたら教えて下さい)

糖質制限で甲状腺機能が低下する?

まず知っておくべきことは低カロリーであればT4からT3への変換が悪くなる、つまり代謝が落ちるということ。

『ダイエット(カロリー制限)を続けると痩せにくくなる』というのはT4からT3への変換が悪くなることで代謝が落ちることが原因。この場合、相対的にFT3の値は低くなります。

糖質や脂質の量に関わらず、カロリー制限を続けると甲状腺機能が低下したような症状(冷えや疲労感など)は出るということをまず知っておきましょう。

さて、問題はカロリーは制限せず糖質を制限した場合でも、甲状腺機能が落ちたような症状は出るのか?実際に数値は低下するのか?ということですね。

まずは江部先生から。

TSH:0.84(0.34~3.88)
F-T4:1.9(0.8~1.8)
F-T3:2.9(2.1~4.0)

(略)

甲状腺機能は、18年間常に、正常です。

引用:ドクター江部の糖尿病徒然日記  江部康二の2020年2月の検査データの報告と解説。

江部先生は甲状腺機能は低下していません。それも18年間。(この数値だとT4は高値)

さらに低T3については記事にされています。

コントロール不良の糖尿病もあるものの、エネルギー不足が原因という指摘。真の甲状腺機能低下症であればTSHが上昇するので、TSHやT4の値が正常なら低T3症候群、つまりエネルギー不足である、とされています。

糖質制限と思っていたら脂質も制限したカロリー制限になっていた…というのは割とあり得ることです。その糖質制限、本当に糖質制限ですか?カロリー制限になってませんか?ということですね。

さらに山本義徳先生の書籍から。

また12名の健康な男性を対象に、6週間に渡って低糖質食(8%が糖質)を行わせた研究があります。その結果、体脂肪量が平均で3.4kg減り、除脂肪体重が1.1kg増えました。T3のレベルは変わらず、T4はむしろ増えていました。

引用:ダイエットの理論と実践 p110

実際の実験は以下。

ここで指摘しているのは糖質制限で代謝が落ちるというのであれば、筋肉が増え、体脂肪が減少するのはおかしいよね?ということ。(筋肉が増え、体脂肪が落ちるならむしろ代謝は上がっているのでは?という話)

この関係性について詳しくは、

  1. T3はGLUT4の発現を増加させる働きを持っている
  2. GLUT4は糖質を取り込むたんぱく質である
  3. 糖質の摂取量が減るとGLUT4を増やす必要がなくなる
  4. GLUT4を増やす必要がないため、T4からT3への変換が起こりにくくなるのでは

という話をされていました。結果、T3の値は正常値ながらT4の値が高値になる、という話ですね。実際に江部先生の数値もT3は正常値ながらT4は若干高値となっています。

ちょっと脱線しましたが、結論として

基本的に糖質制限でT3が低下したという人は、多くの場合で単にタンパク質や脂肪摂取量が少なくてカロリーが少なくなったことが原因だと思われます。摂取カロリーが正常な場合は、あまりT3が低下したという話を聞きません。

引用:ダイエットの理論と実践 p111

ということなので、糖質制限で甲状腺機能が落ちるのではなく、脂質まで制限したカロリー制限になっているから低T3になる(結果、甲状腺機能が落ちたように見える)というのが結論でした。

糖質制限で代謝が落ちたんじゃないか?甲状腺機能低下してる…?と疑う前に、まずはカロリー制限を疑えという話ですね。

ちゃんとカロリー摂ってるのに低T3?

あまり聞かないですが、可能性として。

もしカロリーはしっかり確保しているのにT3の値が低いのだとしたら、上手く脂質をエネルギー化出来ていないというのが原因かもしれません。要するに食べているけどエネルギー不足という状態。

タンパク質不足はもちろん。ビタミンB群、鉄、マグネシウムなどが不足しているとミトコンドリア代謝が進まなくなります。他にβ酸化に関わるカルニチンの可能性もありますね。

水野先生の記事も参考に。

まとめ

ということで、甲状腺機能が低下、要するにT3の値が下がったり冷えのような症状があるとしたら、それは糖質制限が原因というより、カロリー制限でエネルギー量が足りていないというのが原因のようです。

なので冷えや疲労感があるとしたら、まずはカロリー制限になっていないかチェックしてみましょう。この記事の方も実は全然カロリー足りてなかったケースです。

今回の話だと糖質以外にも制限してないか?って点が問題になってきましたが、それ以外にもビタミンやミネラル、たんぱく質の量と意外と気にしなければならない部分は多いです。

研究や実験でも『糖質制限』と一括にできない場合は多いので、そういった部分まで含めてチェックしていきたいですね。

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